2013/05/10

ブラック企業が増えたのではなく、「つまらない仕事」が増えたのではないか

 ブラック企業花盛りであります。
 いつもの居酒屋チェーンもブラック企業、格安洋服屋もブラック企業、あれもこれもブラック企業。
 「もはや、この世の会社はすべてブラック企業なのではないか」と疑いたくなってしまう今日この頃。

 しかし世間から「ブラック企業」呼ばわりされている企業のトップの皆様は言うわけです。「もっと働け」と。

 冗談ではありません、今まででも大変なのに、お前はさらにそんなことを言うのかとお怒りの方も多いでしょう。
  もちろん私だってブラック企業は大嫌いです。
 給料がもらえなかったりボーナスがもらえなかったり退職金がもらえなかったりその他いろいろお金がもらえなかったら泣くし怒るしすぐ辞めるでしょう。

 けれど、「ブラック企業」のトップの皆様がおっしゃる「もっと働け」「昔、オレはこのくらい働いていた」というのには、内心同意してしまうところもあるのです。

 まあ怒るな。話は最後まで聴きねえ。

 例えばこの私。 
 ずーっと、目を開けてから閉じるまで働いています。
  朝起きたら仕事します。ごはんを食べたら仕事します。 それでごはんを食べたら仕事して、またごはんを食べて仕事します。眠くなったら寝ます。
  おそらく毎日12時間以上は仕事しているでしょう。たぶん。

 そうなると、我が社は大いにブラック企業ということになるのでしょうが、私は実に幸せに仕事をしています。
 イヤな仕事はいっさいせず(面倒くさい雑用はありますが)、 好きな時間に寝て起きて、食べたいときにごはんを食べ、イヤなヤツとはつきあわず、行きたいところにだけ行く。
  貧乏なのが難点ですが、「好きな仕事をすることが人生の幸せ」であるならば、幸せであることは間違いありません。

 なぜ、仕事づくめなのに幸せなのでしょうか。 
 簡単です。「仕事が楽しいから」です。

 で。
 これを企業にあてはめてみましょう。
 私もかつて、企業に勤めていたことがあります。
 ほとんどの企業の仕事は実に楽しく、やりがいがありました。残業もまったく苦になりませんでした。
 世間から見たら「山ほど残業させられて給料が安いなんて、ブラック企業だ!」と思われるかもしれませんが、仕事が楽しかったので、そんなことは全然考えませんでした。

 つまり、「仕事が楽しければ、長時間労働も安い給料も苦に感じない」のであります。
 私だけでなく、皆様のまわりにも「好きなことを仕事にしている人」はいませんか。
 そういう人って、実に楽しそうに長時間労働をし、幸せそうではありませんか。


 「ブラック企業」かどうかは、単に「労働時間」で決まるものではないと思います。 
 だから、「ブラック企業」のトップは「もっと働け」とおっしゃる。
 おそらく、トップの人たちは労働時間だけで言えば、ヒラの社員よりもずっと働いているでしょう。 しかしそれは、「労働の質」が全然違うのではないでしょうか。たぶん、トップの方々は実に楽しく仕事をしていると推察します。

 例えば、名番組「プロジェクトX」には、高度経済成長期を支えたモーレツサラリーマンが多数登場しますが、彼らは明らかに激務をこなしているにも関わらず、実に楽しそうに仕事をしています。
 サラリーマンに限らず、戦後、日本の復興を支えた世代はみんな死ぬほど仕事をしている。それでも文句を言っていません。
 たぶん、今、「ブラック企業が増えている」のではなく、「つまらない仕事が増えている」のだと思います。


 「仕事を楽しいと感じる」「つまらないと感じる」には、いろいろな要因があると思います。 
 まず、「ギャラ」。
 給料の良し悪しはモチベーションに大いなる影響を与えます。高いギャラの仕事はやる気が出、低ければやる気が出ない(逆に、あんまりギャラの高い仕事は、つまらない仕事である可能性も高いわけですが)

 次に「仕事内容」。
 「一晩中サンドイッチを作れ」と言われたら大変ですが(ご苦労様です!)、 「好きなことをしてよい。お金もあげよう」と言われたらみんな喜んで「仕事」するでしょう。
 まあここまで極端でなくとも、 楽しいことをしてお金がもらえるならみんな喜んで働くし、残業もよろこんでやりますよね。
 逆に「つまらん仕事」をやらされたら一刻も早く帰りたくなるのはあなたも私も同じです。

 そのほか、「やりがい」「昇給の見込み」「出世の見込み」「人間関係」「仕事環境」など、「仕事の楽しさ」に関係する要因はたくさんあります。今、「ブラック企業が増えている」のは、「仕事をつまらなくする要因が増えている」のでしょう。

 また、「普段の生活環境が改善された」ということも、仕事のおもしろさ、つまらなさに影響を与えていると思います。
 戦後すぐの皆さんは生きるのにせいいっぱいで、とにかく仕事があるだけでありがたかった。 「ごはんを食べて、明日も生きる」だけで幸せだったのです。
 しかし、今は「ごはんが食べられる」だけで幸せと感じる人は少数でしょう。やはりパソコンとネットとiPhoneとテレビくらいは欲しいでしょうし、おやつだって食べたい。
 日常が非常に快適なだけに、仕事じゃなくても、「楽しい」と感じるハードルがものすごく上がっていることは間違いありません。
 「ブラック企業が増えた」のは、「大勢の人が、仕事をつまらなく感じるようになった」のも要因のひとつだと思います。


 さて、「ブラック企業呼ばわりされている会社」の方ですが、そちらだって、「仕事がつまらないのですぐ辞める若者が増える」ことは困った事態なのです。
 求人って、実はお金がすっごくかかってて、決してタダではない。「人材を使い捨てたい企業」なんて、あるわけがないですよ。本当はずっといてほしいに決まっています(業績悪化によるリストラなどは除きます。つまり、企業の側の本音は、「こちらがクビにしないかぎり、ずっといてほしい」のです)。

 では会社が常に「働く人にとって、楽しい仕事」を用意できるかというと……これはなかなか難しい(会社側が努力することはできますけどね。それで成功している会社もいっぱいあります)。
 不況だと給料を上げることもできないし、需要に応じて生産を上げ下げするとなると、臨時雇用はやむを得なくなってきます(雇用を安定させるために、生産を少なくするときも人を雇っていると、今度は製品の値段が上がることになり……難しいものです)。
 でも、「ずっといてほしい」なら、「仕事を楽しくする努力」をする義務を、会社は課せられていると思います。

 技術が進んだ結果、「つまらん仕事」が増えて、「ブラック企業」も増えた(映画「モダン・タイムス」をぜひごらんください)。
 ではどうでしょう、今は個人でも簡単に起業できる世の中なんだし、「楽しい仕事」を自分で創るっていうのは。
 技術の向上は「ブラック企業を増やした」と思いますが、個人での開業も容易にしました。
 アイデアさえあれば、パソコンひとつとネットで、お金を生み出すことができる時代。みなさんどしどし起業しちゃってください。責任は取れませんけど。
 どんな仕事でもどうせ(ほぼ)貧乏なんですから、好きなことやって生きてきましょうよ。

 まあ、独立なんて思い切ったことをしなくても、楽しく小遣い銭を稼ぐ方法は今の時代、いくらもあります。
 「いかに楽しく働くか」「いかに楽しく生きるか」が今重要であって、別に「ブラック企業に忠誠を誓う」必要なんてどこにもないと思いますよ。


追伸
仕事には「相性」というものがありまして、世間で「ブラック企業」と言われているところでも、楽しく働ける人はいっぱいいると思います。「楽しい」と思ったらいればいいし、「楽しくない」と思ったら辞めればいい。どうせ今の時代、会社はあなたを守ってはくれないんですから。
  

barbara_asuka at 22:02│コラム 
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